映画『コクリコ坂から』の舞台 ~ 横浜番外編 ~

横浜は先日DVD・BDが発売されたジブリの最新作『コクリコ坂から』の舞台。
今回の帰省では改めてその舞台となった場所を散策してみようということになりました。
仙台や東北地方をテーマとしているこのブログですが、今回は番外編として横浜の景色をお送りいたします!

主人公の海(うみ)が住んでいる 『コクリコ荘』 は山手にあります。
劇中ではこの山手、元町、山下公園界隈を中心に話が進んでゆきます。


ある理由があって海が毎日掲げる国際信号旗。
上の旗は“U”
下の旗は“W”
この“UW旗”の意味は、「ご安航を祈る」 だそう。

コクリコ荘が建つ場所とされる 『海の見える丘公園』 。
ちゃんとUW旗が掲げられていました。

UW旗付近からの展望。
劇中とはだいぶ違う景色ですが、1963年当時はどんな風景だったんでしょうね。


洋館に離れの和室がある作りのコクリコ荘。
もともと外国人居留区だった山手には、今でも多くの洋館が立ち並んでいます。


民家も土地柄を考えたオシャレな雰囲気。


素敵な街並みに、絵を描いている人も多くいました。

古いけど綺麗にペンキを塗り直しているような建物も。
綺麗にすることで現れる、時を刻んだ本来の趣。
歩くだけでコクリコ坂からのメッセージも感じることができる場所です。

〝自動電話” なるものを発見。
説明によると “自動” 電話 とは、交換手を介することなくダイヤルを回して直接相手に繋ぐことができる電話のことだそうです。
つまりは現在の普通の電話なのですが、なんともレトロなネーミング。

中では古いロボットみたいな奴がその時を待っている。

自動販売機まで景観にマッチしたデザイン。

『エリスマン邸』 は中がカフェや資料室になっていて、自由に入ることができました。

劇中海が駆け下りた階段によく似ています。


立体模型の地図もありました。
こうしてみると山手の全体像がよくわかりますね。
むすび丸の居るところがエリスマン邸。
そして、「代官坂」と「谷戸坂」がコクリコ坂のモデルです。




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作品タイトルの 『コクリコ坂』の場所 は、山手から元町に至る「代官坂」と「八戸坂」の二つの坂がモデルとなっています。
海と俊が二人乗り自転車で坂を駆け下りるシーンを見るとそれがわかります。

まずは基本的なベースになっていると思われる“代官坂”。
マンションで海は隠れていますが、坂の形や雰囲気が上のシーンと似ていますね。


花屋さんのデザインや「花」の看板、隣の家屋の窓の形状までほぼ同じ。
劇中に登場する肉屋さんも、やはりこの代官坂を下りきった場所にあります。

もう一つの坂は“八戸坂”。
こちらは海の見える丘公園に近い場所にあります。

二人の後ろに見える石垣は 、直方体の石材を縦横交互に並べる「ブラフ積 」という積み方だそう。

八戸坂の石垣も、劇中と同じこの「ブラフ積」で、100年以上も前からある石垣だそうです。
こうしてみると、劇中では一つの坂として描かれている坂が、場所の異なる代官坂と谷戸坂のミックスだということがわかります。

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坂から見える元町の灯と横浜の港。

肉屋でカレーライス用の具材を購入する海。
最近でいうマイ・バスケットでしょうか。
この頃は買い物かごを持って商店街へ行くのが一般的だったみたいですね。

ここでコロッケの買い食いシーンがあるのですが、これが本当に美味そうです。
見た目もさることながら、その雰囲気でコロッケが食べたくなる^^;

代官坂のふもとにある『丸英商店』 。
劇中のモデルになっていると思われる肉屋さんで、元町に昔からある老舗だそうです。
定評あるコロッケの買い食いをしようと企んでたのに、定休日でしたーT T

今の元町は洋風というか、劇中の下町っぽさとは全然違った雰囲気です。
でもこれはこれで横浜らしくて素敵ですね。
石畳の道路がいい雰囲気をだしてます。

谷戸坂の先にかかる谷戸橋は、昭和2年竣工の橋。
仙台の大橋や霊屋橋が昭和13年なので、それより10年以上も古い。
石橋は空襲で焼けずに残っているので、歴史を感じられるものが多いですね。

谷戸橋から堀川を眺める。

夜の山下公園を歩く海と俊。



横浜マリンタワーと、ホテルニューグランド。



丸英商店でコロッケを食べられなかった腹いせに、同じく劇中に登場したホテルニューグランドでお昼を食べることに。

一階のレストランはナポリタン発祥の地ということで、そのナポリタンを注文。
当時の日本人にはアルデンテのパスタが硬かったそうで、
麺を一度冷凍して寝かせることで、茹で過ぎることなく麺を柔らかくしたそう。
ここのナポリタンは今でもそうやって調理しているとのことでした。
柔らかい麺にクラシカルな味わいがとても美味しかったです。

ホテルの館内は照明が少なく、薄暗い感じでした。
なんとなく重厚感がありますね。

一角に資料コーナーを発見。

左が現在の写真。 右が1961年の写真です。
『コクリコ坂から』の舞台は1963年なので、当時の雰囲気がなんとなく分かりますね。
高い建物が少なく、堀川も見えています。
これなら写真左上に写っている代官坂からも海が見渡せたに違いありません。

1963年の桜木町駅。
奥さんは『桜木町』の地名の響きがとても好きだそう。
確かに、なんとなくオジサン発想っぽい『みなとみらい』の呼び名よりカッコイイかもしれない。
そういえば奥さんと初めてデートしたのもこの界隈だったなぁ・・・(遠い目)

路面電車が来たところで、そろそろ『コクリコ坂から』ツアーもこの辺で。
「なかよし」連載の少女漫画に、60年代の学生カルチャーをぶち込んでみた一風変わった本作。
特に昔の横浜をご存じの方は大いに楽しめるんじゃないでしょうか!
・・・

帰りの新幹線に乗る前に、復元工事中の東京駅を少し眺めました。
夕日に照らされた駅舎に、復元された屋根がとても綺麗です。
赤レンガの建物は、この国が昨日今日にわかに高層ビルを建ち並べて興った近代国家ではないことを思い出させてくれますね。
全面開通は10月の予定だそうなので、年内には歴史ある新しい東京の表玄関を見ることができそうです。

東京のあちこちで見かけたポスター。
イーハトーヴの眼鏡橋も写ってます。
東京滞在中、寒冷地仕様の私は終始汗ダクダク。
東北の写真を見る度に、気持ち2-3℃涼しくなりました(笑)

お土産のレトルトカレーです。
- 帰ってきたぜ、東北!
(撮影:Sony NEX-5N)
by shinjiro7633yc
| 2012-07-23 17:24
| - 番外編